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坐禅と、ちょっといい時間

坐禅(ざぜん)とは、静かに坐り、呼吸をととのえ、心を落ち着ける時間のことです。
目を閉じて祈るのではなく、目を開いたまま、姿勢を正して、ただ「いま、ここ」にいる自分を感じる――
それが坐禅の基本です。

慌ただしい現代の暮らしは、音や情報にあふれ、心がどこか置き去りにされがちです。
仕事、家事、人づきあいに追われる日々のなかで、自分を見失いそうになることもあるでしょう。

そんなとき、ほんの数分でも坐禅をしてみると、不思議と心が静まり、少しだけ世界がやわらかく見えてきます。
坐禅とは、何か特別な能力を身につけるためのものではありません。
肩書きや立場をいったん手放し、「ただの自分」としてそこに坐ること。
誰に見せるでもなく、何かを目指すでもなく、そのままの自分を静かに見つめ、そっと受けとめてあげる。

そうした時間のなかで、やさしさや思いやり、穏やかな気持ちがゆっくりと育っていきます。

何か考えごとが浮かんでも、大丈夫です。
「浮かんだな」と気づいて、そっと手放す。
その繰り返しが、心の整理になり、自分自身と自然に向き合うことにつながります。

たとえば、毎朝5分。あるいは、寝る前の10分だけでも構いません。
それは、自分のための「何もしない時間」。
忙しい日常のなかに、ひととき心を深呼吸させる「ちょっといい時間」をつくってみませんか。

坐禅は、だれにでも開かれた静かな贈りものです。
特別な知識や道具は必要ありません。
ただ呼吸を感じ、ただ坐る。その繰り返しが、いまを丁寧に生きる力になってくれることでしょう。

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