top of page

曹洞宗の概要と歴史

  • 曹洞宗(そうとうしゅう)は、いまからおよそ800年前の鎌倉時代に、道元禅師(どうげん ぜんじ)が中国から「正しい仏さまの教え(正伝の仏法)」を日本に伝えたことに始まります。

  • その教えを、瑩山禅師(けいざん ぜんじ)がさらに多くの人々に広め、全国に広がっていきました。

  • 曹洞宗では、仏教を開かれたお釈迦さま(釈迦牟尼仏/しゃかむにぶつ)をご本尊とし、道元禅師と瑩山禅師のお二人を「両祖(りょうそ)さま」と敬い、あわせて「一仏両祖(いちぶつりょうそ)」とお呼びします。

  • はじめは、道元禅師が坐禅(ざぜん)を重んじた修行の道場からスタートしましたが、瑩山禅師の時代になると、地域の人々にもわかりやすい教えとして広まりました。

  • 江戸時代には学問や布教活動も整えられ、明治時代の仏教弾圧(廃仏毀釈)を乗り越え、今では日本全国に約1万4千のお寺、800万人以上の信者をもつ大きな宗派となっています。

一仏両祖

お釈迦さま(釈迦牟尼仏)

  • お釈迦さまは、約2,500年前のインドで悟りを開かれた仏教の創始者です。
    「すべてのものは関係し合っている(縁起)」「この世は常に変わり続けている(無常)」「本当の自分という固定したものはない(無我)」「苦しみから離れる道(涅槃)」といった、今日まで伝わる教えを説かれました。
    曹洞宗では、このお釈迦さまをすべての教えの中心であるご本尊として礼拝します。

 道元禅師(どうげん ぜんじ)

  • 1200年に生まれた道元禅師は、24歳で中国・宋(そう)に渡り、厳しい修行の末に正しい仏法を受け継ぎ、28歳で帰国。
    その後、坐禅の心得をまとめた『普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)』を著し、永平寺(福井県)を開かれました。
    日常生活そのものを修行とする「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)」の実践を説き、多くの弟子を育てながら、54歳でこの世を去られました。

瑩山禅師(けいざん ぜんじ)

  • 道元禅師の教えを受け継ぎ、曹洞宗を全国に広めたのが瑩山禅師です。1264年ごろに生まれ、能登に永光寺(ようこうじ)を開き、58歳のときに總持寺(そうじじ)を建立されました。
    道元禅師の教えを、より多くの人々に伝えるため尽力され、62歳で遷化(せんげ/亡くなられること)されました。

 

このお釈迦さま・道元禅師・瑩山禅師の三尊を、曹洞宗では「一仏両祖」と仰ぎ、心のよりどころとしています。

ichibutsuryoso.jpg

宗旨と教義

  • 曹洞宗は、坐禅(ざぜん)をもっとも大切な修行とする禅宗の一つです。お釈迦さまから脈々と伝わる「正しい仏の教え(正伝の仏法)」を受け継ぎ、日々のくらしの中でその教えを実践することを重んじています。

宗旨(大切にしている姿勢)

  • 姿勢を正して静かに坐り、呼吸を整え、心を落ち着ける――そうした坐禅の修行を通じて、自分の中に本来そなわっている仏の心に気づいていくことを目指します。
    食事・掃除・仕事・休息など、日常生活のすべてが修行であり、そのすべての時間を仏道の実践として大切にします。

教義(教えの内容)

  • 道元禅師は、「すべての人には生まれながらにして“仏の心(仏心)”がある」と説かれました。
    この仏心は、日々のくらしの中で人を思いやること、感謝を忘れないこと、今を丁寧に生きることで、少しずつ育てられ、輝いていきます。

  • また、禅の世界では「拈華微笑(ねんげみしょう)」という言葉があります。これは、お釈迦さまが一輪の花をかかげ、弟子のひとりがその意味を笑みで受け取ったという伝説です。
    言葉を超えた心と心の伝わり――その静かで深い交流こそ、禅の教えが大切にしている「本質の伝え方」でもあります。

  • 曹洞宗は、こうした教えを通じて、だれもが本来もっている仏の心に気づき、豊かで調和のとれた人生を歩むことを願っています。

両大本山(りょうだいほんざん)

  • 曹洞宗には、信仰と修行の中心となる二つの大切なお寺――両大本山があります。

  • それが、福井県にある 永平寺(えいへいじ) と、神奈川県横浜市にある 總持寺(そうじじ) です。

大本山 永平寺(福井県)

  • 永平寺は、1244年に道元禅師が「大仏寺(だいぶつじ)」として開かれ、その2年後に「永平寺」と改められました。

  • 福井県の深い山あいに建つこのお寺では、今も多くの修行僧たちが早朝から夜まで、坐禅や読経、掃除や食事など、すべてを修行として日々厳しく取り組んでいます。

  • 道元禅師の教えを今に伝える、曹洞宗の原点ともいえる大本山です。

大本山 總持寺(神奈川県横浜市)

  • 總持寺は、1321年に瑩山禅師が能登(現在の石川県)に創建したお寺です。

  • その後、1911年に現在の神奈川県横浜市鶴見区に移転しました。もともとの能登の總持寺は「祖院(そいん)」として今も大切に守られています。

  • 横浜の總持寺は、都心からもアクセスしやすく、毎日多くの参拝者が訪れる現代的な修行と教化の中心地となっています。

この二つの大本山は、曹洞宗の信仰と教えを支える心のふるさとです。

bottom of page