ご葬儀について
― 仏弟子としての旅立ち ―
曹洞宗の葬儀は、二つの大きな目的を持っています。
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故人の肉体を丁重に火葬し、この世でのお勤めを静かに締めくくること。
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魂に戒名を授け、お釈迦さまの弟子として仏の仲間入りをしていただくこと。
私たちは肉体とはここで別れますが、戒名を受け仏弟子となった魂とのご縁は、これからもご供養を通じて長く続いていきます。
以下に、守徳寺で執り行う一般的な儀礼の流れと、それぞれの意味を詳しくご紹介いたします。
1.剃髪(ていはつ)
煩悩の世界を離れ、仏道へ入る決意を示す儀式です。
僧侶が出家のときに唱える偈文(げもん)をおとなえし、形式的に髪を剃る所作をします。これが授戒の第一歩となります。
2.洒水(しゃすい)
清らかな水を仏前に供え、導師が故人に向かって水をそそぎます。
水は清浄と浄化の象徴。身と心を洗い清め、仏さまの弟子としてふさわしい準備を整えます。
3.授戒(じゅかい)
授戒では次の戒法が授けられます。
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懺悔文(さんげもん)
生前の大小の過ちを素直に悔い改めます。 -
三帰戒(さんきかい)
仏・法・僧の三宝に帰依し、仏弟子として歩むと誓います。 -
三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)
①悪を離れる ②善を行う ③すべてのいのちと調和する――仏道の基本姿勢を確認します。 -
十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)
命を大切にする、盗まない、嘘をつかない、心を穏やかに保つ…など、日常を美しく保つ十の具体的戒めです。 -
血脈授与(けちみゃくじゅよ)
お釈迦さまから今日まで続く法の系図「血脈」を故人に授けます。これにより、故人は正統な仏弟子として法灯を継ぎます。
十六条戒とは?
上記の三帰戒・三聚浄戒・十重禁戒を合わせて十六条戒と呼びます。
いわば「もしお釈迦さまだったら、こう生きる、こうはしない」という生き方の指針をまとめたもの――
仏さまの仲間入りをする安心感が、遺された私たちの心も静かに支えてくれます。
授戒について詳しくはこちら
4.入棺諷経(にゅうかんふぎん)
観音さまの大いなる慈悲を唱える大悲心陀羅尼を読経しながら、参列者が焼香します。すでに納棺を終えている場合も、この経の功徳で故人を優しく包みます。
5.龕前念誦(がんぜんねんじゅ)
お棺の前で、十仏名や舎利礼文を唱え、諸仏の功徳をもって故人の悟りを祈念します。
6.挙龕念誦(こがんねんじゅ)
大宝楼閣善住秘密根本陀羅尼を読誦し、太鼓や鉢(はつ)を打ち鳴らす「鼓鈸三通(くはつさんつう)」。音声とリズムで邪気を祓い、旅立ちの道を清める儀式です。
7.引導法語(いんどうほうご)
導師が故人の人生を漢詩に託し、たいまつ状の線香で右回り・左回りに円を描きながら唱えます。
迷いの境界を越え、仏の世界へと導く、ご葬儀のとても大事な場面です。
8.山頭念誦(さんとうねんじゅ)
最後に読経し、仏弟子となった故人が一路涅槃へ向かい、仏性が円満に覚醒するよう祈願します。
これら一連の儀式を通じ、
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故人の肉体を丁重に火葬し、この世でのお勤めを静かに締めくくること。
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魂に戒名を授け、お釈迦さまの弟子として仏の仲間入りをしていただくこと。
この二つの尊い目的が果たされます。
守徳寺では、ご遺族の悲しみに寄り添いながら、故人の新たな旅立ちを真心こめてお手伝いいたします。どうぞ安心してご相談ください。

