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授戒について
― 戒を授かるという安心 ―
「授戒(じゅかい)」とは、仏さまの弟子となるための儀式です。
曹洞宗の葬儀では、亡き人に授戒を行い、仏弟子としてお見送りします。
その内容は、以下のような戒(かい)からなります。
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三帰戒(さんきかい):
仏(お釈迦さま)、法(お釈迦さまの教え)、僧(お釈迦さまの教えを信じている仲間たち)に帰依することを誓います。 -
三聚浄戒(さんじゅうじょうかい):
善を行い、悪を離れ、すべての命と調和して生きる戒です。 -
十重禁戒(じゅうじゅうきんかい):
殺さない、盗まない、嘘をつかないなど、日常生活の中で大切にすべき具体的な戒です。
これらは、「お釈迦さまだったら、きっとこうする」「これはなさらないだろう」という生き方の指針ともいえるもの。
つまり、授戒とは「仏さまのように素敵に生きたい」と願う心を、かたちにすることなのです。
本来、戒は生きているうちに授かり、日々の暮らしの中で実践していくべきものです。
ご縁をいただき戒を受けた人は、「どう生きるか」「どう人と関わるか」を見つめ直しながら、仏道の歩みを日常に映していきます。
しかし葬儀においては、まだ戒を受けていなかった故人に対し、最期の時にこの大切な戒を授け、仏弟子として仏さまの道へと送り出すのです。
戒を受けることで、亡き人は仏さまの仲間となり、新たな道を歩み始めます。
そして遺された私たちもまた、
「大切なあの人は、もう仏の弟子として守られている」
――そう思えることが、深い悲しみの中に静かな安心を与えてくれます。
仏さまと同じ方向を向いて生きる。
それは、亡き人とこれからもつながっていく、あたたかなご縁でもあります。
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